オゾン処理した生白米の物理化学的特性の変化

 

貯蔵米に対する昆虫や菌類による汚染は米の品質低下をもたらします。品質低下による推定年間損失は、貯蔵米全体の30%から42%にも上るとされています。これらの被害を防ぐ最も良い方法は燻蒸で、現在、登録されている食品穀物用の燻蒸剤には、臭化…

貯蔵米に対する昆虫や菌類による汚染は米の品質低下をもたらします。品質低下による推定年間損失は、貯蔵米全体の30%から42%にも上るとされています(Ministry of Agriculture and Agro-based Industry malaysia,2009)。

これらの被害を防ぐ最も良い方法は燻蒸で、現在、登録されている食品穀物用の燻蒸剤には、臭化メチルとホスフィンの2種類があります。
しかし、これらの燻蒸剤の多用により、害虫の中にはホスフィンや臭化メチル耐性を示すものが出てきています(Zettlerら,1989; Zettler&Cuperus 1990)。

このことから、貯蔵米の昆虫や菌類による汚染に対するより効果的な方法が模索されてきました。殺菌剤として広く使われているオゾンは、昆虫やカビ(真菌)にも強力な影響を与えることが報告されています。その中には、オゾンがこれら微生物集団の90%を効果的に除去することを証明した報告も(Ishizakira,1986;Shahら,2011)。

燻蒸剤に耐性昆虫が出現するのは、ホスフィンや臭化メチルが、作用後も長期間に渡って米に残留し続けることにあります。この点オゾンは、噴霧後に直ちに昆虫に作用し、作用するとすぐに酸素に変わって空気に溶け込み、残留しません。
また、反応性が極めて強い点もオゾンの大きな特徴です。このため、オゾンは強力で安全な燻蒸剤の代替物と見なされていて、食品流通業界や衛生産業業界で広く使われています。

この研究の目的は、オゾン処理を行った米の貯蔵期間後の物理化学的特性変化、すなわちオゾンの米への影響を判断することです。

材料および方法

オゾン処理米の生産

イネに対するオゾン処理は、室温20±3°C、湿度を50%に制御された部屋の中に設置された気密性の高いリーベルグ凝縮器内で行われました。オゾン発生器とガラス製コンデンサーはプラスチック製チューブで接され、オゾン発生器にはコロナ放電法を使った(Model OM-1、Top Ozone、Malaysia)を使用。

米のオゾン暴露レベルとオゾン流量のチェックには、リーベルグコンデンサーに接続されたオゾン検出器(ニュージーランド、Aeroqual)と熱線風速計(TA5、米国、エアフロー)が用いられました。

オゾン処理後のサンプルは、物理化学的特性をテストしてから、室温でポリエチレンバッグに保存し、官能評価試験に回されました。

米の性質

粉砕後の米のサンプル1gを9mlの蒸留水に懸濁し、攪拌機で60秒間撹拌しました。
懸濁液をろ過後、上澄み液のpHをpHメーター(モデル3305、Jenway Ltd、英国)で測定しました。

色測定

米の色測定には、L*、a*およびb*の3つの値に対して、対照サンプルの色測定値を標準として、分光光度計(スペクトロフォトメーター、Ultrascan PRO Hunter Lab USP1092、米国バージニア州)を用いて行いました。
分光光度計での計測は標準白色基準タイル(L*=99.52、a*=0.01、b*=−0.056)に対して補正後に行われました。

水分含量

オゾン処理した米の水分含有量は、デジタル穀物水分計(モデルSS-6、佐竹、日本)を用いて測定しました。
まず、デジタル穀物水分計での計測値を、従来より使われているオーブン法(Pearson,1976)での計測値と比較したところ、両者の誤差が極めて小さかったことから、本研究にはデジタル穀物水分計を使用することとしました。

調理品質

調理中の米の吸水量測定は、Saburlaseら(1991)に変更を加えた方法で行いました。
蒸留水(20mL)と精米サンプル(2g)を綿栓で密閉した試験管に入れ、カバー付きの水浴(PROTECH、マレーシア)中で80°Cに制御して30分間調理。調理後に冷却し、水気を切り、逆さにして1時間静置した後に秤量しました。調理前のサンプル重量に比較した重量増加量を吸水量としました。吸水量は、精米1gあたりの水(g)として算出してあります。

総固形分

総固形分を測定するために、80°Cで30分間米を調理し、調理水(10mL)を取り除き、あらかじめ乾燥させて重量を測定した磁器皿に入れてサンプルとしました。
次に、サンプルをオーブンで130°Cで8時間乾燥させました。総固形分は、計算式を使用して算出されました。

生米の硬さ

5kg容量の圧縮ロードセルを備えたテクスチャアナライザー*(Model TA.XT2i、Stable Micro Systems、Surrey、英国)を使用して、未調理米の硬度を測定しました。
未調理米の硬度は、kg力(kgf)で表した最大押出力から決定しました。
破壊強度を測定し、米浸透の最初のピーク力(kg)の値による力対変形曲線で読み取りました。
テクスチャーアナライザー*:サンプルにかかる荷重を測定するセンサー(ロードセル)部分とサンプルを固定する部分からなり、サンプルに力をかけて荷重や応力を測定して硬さを計測する装置。研究開発、品質管理、製造過程、様々な場面で利用されている(EKO Japan)。

炊飯米の硬さと粘着性

20粒の調理米を、25°Cの密閉プラスチックボトル内で1時間平衡化し、テクスチャアナライザーを用いて、炊飯米粒の硬度と粘着性を測定しました。
米粒のテクスチャ特徴の分析は、Mua and Jackson(1997)の手順に基づいていました。

走査電子顕微鏡(SEM)

穀物の構造を確認するために、精米を手で割って、断面をSEM(Philips XL30 ESEM、Eindhoven、オランダ)で1,000倍および2,500倍の倍率で観察しました。

結果と考察

予備調査

オゾン処理後の精白米との比較のためにオゾン処理前の米の物理化学的な解析が行われ、米の含有水分量を始めとした各種物理化学的な数値の基準が確認されました。

中でも、米の水分含有量測定は、炊飯後の米の最適な重量と密度を維持するために重要です。乾燥米との比較で、オゾン処理を行わない対照サンプルの水分含有量は、13.43%でした。一般に、白米は、害虫や微生物の侵入を避けるために、乾燥含水率12%に維持されます。
しかし、高多湿なマレーシアの天候下では、実験サンプルを理想的な水分含有量に適合させることは不可能でした。

イネの物理化学的特性に及ぼすオゾン暴露レベルの影響

米の性質(pH)

予備実験でのコントロールサンプル(オゾン処理をしていない通常米のサンプル)のpHは6.2±0.08です。

オゾン処理を行った場合、オゾン濃度とオゾンへの暴露時間が増加するにつれて、オゾン処理米サンプルのpHの低下が観察されました。オゾン処理米のpHは、0.1、0.2、0.3、0.4ppmのオゾン濃度レベルへの暴露で、それぞれpH=5.43、5.34、5.30、5.23へとオゾン濃度が増すに従って低下する傾向を示しました。
しかし、これらのpH低下の度合いは、統計処理の結果ではコントロールサンプルと比べて大きな有意差は認められませんでした。

このようなpH低下(酸化)は、オゾン暴露により、オゾンが米化合物を酸化することにより発生する可能性があります。
Langlaisら(1991)は、オゾンは炭水化物、アミノ酸、不飽和脂肪酸化合物を酸化するとしています。オゾン処理した米中に含まれているこれらの成分が酸化されてpH値が低くなるものと解釈できます。

しかし、pH低下は米の品質に悪影響を及ぼしませんでした。逆に、pHが6未満の環境下では、セレウス菌が繁殖できずに死滅傾向になるため、生白米中のセレウス菌数の減少をもたらすというメリットもあります(Brown、2000;Shahら、2011)。

水分含量

オゾン処理による米の水分含有量は、試料全体を通じて、処理時間およびオゾン濃度に比例して減少する傾向が示されました。
コントロールサンプルの含水率は、13.40〜13.43%であったのに対して、420分のオゾン処理後に観察された水分含有量は、0.1、0.2、0.3、0.4ppmのオゾン濃度で、それぞれ12.97、12.86、12.47、12.29%でした。
低オゾン濃度(0.1ppm)および短暴露時間(60分)でオゾン処理した米含水率13.40%弱に対して、高オゾン濃度(0.4ppm)および長暴露時間(420分)でオゾン処理した米の含水率は13.40%と水分が最も少なく保たれました。

このように、オゾン処理時間の短い米は、処理時間の長い米と比較して水分を保持していて、例えば、360分間のオゾン処理と420分間処理した米サンプルでは、同じオゾン濃度下で5.85%の水分差が生じました。

以上の結果に加えて、オゾン処理米の水分含有量が一定の貯蔵期間の後に減少する傾向も確認。これは、オゾン処理によってコメに付着したオゾンが、処理米を保存するポリエチレン袋の内部に暴露されて、その影響によるコメの酸化の結果と考えられます。

水分含有量が低いと、穀物への昆虫の侵入が抑えられるため、害虫駆除管理に追加の利点があります。この点に関連してPanら(2008)は、イネへのシトフィラスオリザエ(ゾウムシ)の侵入を避けるために、米を通常の保管時の含水率(13.5〜14%)よりも低い含水率(12〜13%)に保つことを推奨。

色測定

「白くつやのある米」、すなわち白色度が高くて半透明なコメは、新鮮さの指標として消費者にとって購買の目安の一つになっています。米の色は、CIE L*a*b*モデルに基づく解析を行いました。このモデルでは、米の黄色度をb*値で評価します。b*値の範囲は黄色から青色にかけて、正の値から負の値までが割り振られます。

a*は緑から赤にかけての色味の強さを表す指数で、+の数値が高くなるとになるとより赤がかった色に、-数値が高くなるとになるとより緑色がかった色になります。
b*は黄色から青にかけての色味の強さを表す指数で、+の数値が高くなるとになるとより黄色がかった色に、-数値が高くなるとになるとより青色がかった色になります。
L*は、色の明るさ(明度)を現す指数で、色味とは無関係です。L*が高くなると明るくなって白色に近付き、低くなるとになると暗いくなって黒色に近付きます(KONICA MINOLTA)。

オゾン処理後の精白米の色はクリーム状の白から黄色に変化し、精白米の黄色度(b*値)がオゾン量(濃度x曝露時間)とともに増加したことが明らかになりました。コントロール米でのb*値(10.6±0.25)に対して、オゾン処理米のb*値は、360分後の値では、最低のオゾン暴露量(0.1 ppm)の場合、12.59まで大幅に増加(P<0.05)、 最大のオゾン暴露量(0.4ppm)の場合には13.74まで増加しました。

この結果は、Mendezら(2003)の、50ppmのオゾンで3日間処理された米がコントロール米比較してより濃い茶色であるとした研究結果と一致しています。Mendezら(2003)は、色の劣化は、オゾンの生成に伴って形成される硝酸の形成によって引き起こされるとの仮定です。

この考えに基づくと、オゾン化された空気から酸性副産物を除去して、米の黄色度を下げる方法を考案する必要があります。商業的なオゾン発生器には、この点を考慮した設計が必要となる可能性も考えられます。ただし、米の色が黄色くなる原因として、ほかにも米の収穫後に時間が経っていたり、米のタンパク質含有量が多いために発生することもあり、これらの点に関するより詳しい検討が必要です。

白いチョークのように見える米粒の中の不透明な領域が多いと、米の品質が悪いと考えられて消費者からは敬遠されます。この不透明な部分の割合を検出するために、この研究で使われたたCIE L* a* b*モデルでは、米の明度をL*値で評価します。

本研究結果では、オゾン処理米の明度は、コントロール米と比較してオゾン濃度が増加するにつれて増加する(白色度が増す)傾向にあることが判明しました。コントロール米サンプルの平均L*値は、69.4±0.007でした。
一方、オゾン処理サンプルのL*値は、0.1 ppmのオゾン濃度サンプルで、実験開始時の70.93から420分後の76.5に増加し、0.2ppmの濃度で66.85から77.93に、0.3ppmの濃度で72.38から77.67に増加し、0.4ppmの濃度では67.41の初期読み取り値からで78.02まで上昇しました。異なる濃度間で検出された平均差は、0.4ppmで最高で、0.1ppmで最低でした。

L*値の増加、すなわち白色度の上昇は、米粒の中にある空隙を持った奇形澱粉顆粒かが原因の可能性があります。
実際に、このタイプの米粒をSEMで観察すると、オゾン処理後のサンプルでは、多角形の境界が明確にならず、米の構造全体で顆粒サイズが小さくなっていました。これにより、水結合能力、澱粉の溶解度、調理水に浸出する全固形分、糊付け粘度および澱粉損傷値の変化が引き起こされると考えられます。

調理品質

オゾン処理米の品質の検討には米粒中の水分保持量が用いられました。すなわち、この値が高い方が高品質米であると評価されます。

試料全体を通じて、オゾン量(オゾン濃度xオゾン暴露時間)が増加するにつれて、徐々に調理品質が向上する傾向のあることが示されました。コントロール米サンプルの平均初期調理品質は、米1gあたり1.42〜1.79gでした。これに対して、0.1〜0.4ppmで420分のオゾン暴露後、吸収される水の範囲は1.76〜2.17g/gでした。調理品質の平均増加分は17〜24%でした。とくに、0.3ppmを超えるオゾン濃度での処理サンプルには、有意な品質向上(数値の上昇P<0.05)が認められました。

調理品質の変化は、オゾン処理米が酸化米と同じ特性を持っていることを暗示しています。また、オゾンで処理したイネの吸水量は、コントロール米サンプルと比較して、1処理あたり60分間隔でオゾン処理を行った後に著しく増加する傾向も確認されました

オゾン処理米の品質向上傾向は、Saburlase et al.(1991)によって行われた、生米のガンマ線照射実験結果と一致しています。
この研究では、オゾン処理によるタンパク質とデンプンの断片化により、水結合部位の数が増加することが示されています。このようにオゾン処理は、澱粉顆粒の周囲に分布するタンパク質マトリックスを破壊する可能性があり、このことが、水分吸収の物理的障壁として機能することが考えられます。

(Julianoら、1965, Chaudry&Glew、1973)は、酸化によって顆粒が変化し、水が比較的簡単に浸透する可能性があると主張し、物理的障害の後、澱粉の粒子サイズが小さくなると水和に利用できる表面積が増加するとの考えです。これはまた、古米には水分吸収、伸び、幅の拡大という特徴があるとした(Gujral&Kumar、2003)の研究結果とも一致しています。

総固形分

コントロール米とオゾン処理された米の調理水中の全固形物量の比較においても、0.3ppmを超える有意差が確認されました。

処理後の米の固形分損失量は、オゾン濃度と暴露時間の増加とともに増加しており、きれいな比例関係を示す右肩上がりの線形として表示されます。
米100gあたりの総固形物量は、オゾン処理濃度0.1、0.2、0.3、0.4 ppmに対して、それぞれ2.89、2.51、2.03および1.81(×10-3)gでした。オゾン処理前の米の平均固形物量(9.68×10-3g固形分/100g)からの減少率は、Saburlase et al.(1991)の結果と一致しました。

Sirisoontaralak and Noomhorn(2006)は、オゾン処理後の調理水中の総固形分の増加は、老化によるものであると説明しています。
この場合の老化とは、サンプルの処理中のオゾンの反応により、コロイド状の澱粉とタンパク質が構造変化を起こし、より安定な水不溶性の形状に(ゲル状)に変化することです。

一方、Gujral&Kumar(2003)は、熟成米の調理水中の固形分の減少について報告しています。
グルコースが連なったデンプンの一種であるアミロースとアミロペクチンは、オゾン処理により結合部分が切断されて小さな断片となることが推定されます(Sirisoontaralak and Noomhorn 2006)。その結果、調理中にオゾン処理された米は分解しやすくなります。これが、調理済みのオゾン処理米が、コントロール米に比べて長さ比と膨張が大きい理由かもしれません。

また、この現象は、未調理の米粒の走査電子顕微鏡(SEM)での観察からも明らかにされました。SEM像からは、不規則な澱粉粒とオゾン処理米サンプルのより大きな水結合部位が澱粉とタンパク質成分の放出を可能にしたことが分かります。

炊飯米の硬さと粘着性

Singhらによって行われた研究(1997)では、白亜質で熟成した米粒は、半透明の米よりも低い粘着性、凝集性、および最大の硬さを持つとされています。テクスチャー特性の違いは、米粒中のアミラーゼ含有量、アミロペクチン鎖の長鎖と短鎖の比、および顆粒構造の違いに起因する可能性があります。コントロール米の硬さは、米粒自体の水分含有量と関連することが観察されました。
オゾン処理された米粒の水分含有量が減少するにつれて、未調理米の硬度も低下したことが注目されます。

炊いたご飯をかみ砕くのに必要な力と言われているテクスチャープロファイリングは、90%ひずみの圧縮でTexture Analyzerを使用して行われました。ANOVAでの分析から、米のオゾンへの暴露時間よりもオゾン濃度により強く影響されることが分かりました。

調理済みのオゾン処理米の硬度は、調理済みのコントロール米の硬度よりも低いものでした。オゾン処理された炊飯米の硬さの変化はオゾン濃度が0.1と0.2ppmの場合により顕著であり、0.3または0.4ppmのオゾン濃度では、あまり目立った変化は認められませんでした。
調理されたオゾン処理米が柔らかい食感をもつのは、調理中の吸水量が大きかったためです。このコメのテクスチャーは比較的滑りやすく、貯蔵中での調理されたオゾン処理米の食感は、べたつきが少なくなり、光沢が低くなり、ふわふわして硬くなりました。

前述のように、オゾン処理米サンプルの水分レベル低下は生米硬度の低下の原因でしたが、最終的に炊飯米硬度の多少の低下につながりました。硬度は、水分含有量12.65%でオゾン濃度が0.1、0.2、0.3、0.4ppmの場合、それぞれ64、63、33、48%減少。

この結果は、水分含有量が減少するにつれて炊飯米の硬度が増加するとしたPerez and Juliano(1979)の研究結果とは正反対であるのに対して、放射線照射された生米から得られた結果とは類似のものです(Sirisoontaralak and Noomhorn 2006b)。この研究では、低アミラーゼ米を2.0 kGyの照射線量の放射線に暴露後、炊飯米の硬度が37%低下したと報告されています。

炊飯米の主な特性は硬度と粘着性にありますが、粘着性パラメーターは硬度と比べて正確な測定が困難な場合があります。粘着性は、90%のひずみで圧縮されたオゾン処理白米で測定されましたコントロール処理と比較して、オゾン処理米の付着力のピーク力に統計的差異は観察されませんでした。

このデータは、オゾン処理が米の粘着性には影響しないことを示唆しました。米サンプルを最高のオゾン濃度(0.4ppm)に暴露した場合に、炊飯米の粘着性が最も低くなることが発見され、注目されます。

また、オゾン濃度0.2ppmでの暴露は、調理されたオゾン処理米の粘着性と比較して、変化が最小でした。これは、調理済みのオゾン処理米の水分量と硬度と相関がありました。オゾン処理した米の水分含有量が減少すると、炊飯米の粘着性を低下させました。
これは、Mendezら(2003)の、オゾン処理された米とコントロール処理された米との間に付着力のピーク力に有意差(P>0.05)がなかったという報告を支持するものです。

オゾン処理米の物理化学的特性間の相関

オゾン量と米の特性との相関係数を要約します。オゾン濃度は、b*、L*値、調理品質および総固形分と正の相関がありました。
一方、オゾン濃度は、調理済みおよび未調理の米の硬度および水分含有量と負の相関がありました。さらに、オゾン濃度とpHおよび炊飯米の粘着性との間には有意な相関はなく、オゾン処理米のpHと負の相関がありました。

これらの特性に関するオゾンとの関係については、さまざまな角度から研究が行われていて、多様な結果が得られています。オゾン処理米については、オゾン濃度と炊飯米の粘着性との間に正の相関があることが報告されています(Mendezら, 2003)。
一方、同じ研究で、50ppmのオゾンで30日間処理した米粒の色と正の相関(P<0.05)があったことが報告されました。これは、本研究結果と一致しています。

粒子構造

米粒には、90%(乾燥基準)の澱粉が含まれています。
コントロール米サンプルのSEM像からは、米の多角形の澱粉粒がはっきりと観察できました。オゾン処理を加えると、このデンプン粒の境界が多角形ではっきりとしなくなります。

オゾン処理後、隣接する澱粉粒、内部が均一な複合クラスター、明確ではない多角形の境界、澱粉粒の間の空隙の融合が観察されました。SEM像は、顆粒サイズの縮小も示していて、多くの研究者が同様の観察結果を報告しています。これは、X線照射処理に際して観察された米粒子の構造と類似しています。

X線照射は、米粒の水結合能、澱粉の溶解度、調理水に浸出する全固形物、糊付け粘度、絶対密度、澱粉損傷値の変化を引き起こす、でん粉顆粒と分子構造に損傷を与える可能性が報告されています。これらの特性は、オゾン処理量とは無関係に、オゾン処理米サンプルでも実証されました。

本研究では、デンプン粒の変化により、水が容易に浸透し、デンプンまたはタンパク質成分の放出が可能になります。
粒度を小さくすると、水和のための表面積が増加します。これらの観察結果は、オゾン処理後の残留調理水の水分吸収と総固形分の増加と一致しています。
放出された澱粉成分は、炊いた米のぬめり感からも感じられるものです。この結果は、白亜質、照射、熟成米に関する研究と一致。チョークのような粒は、複合アミロプラストではなく、単一の存在、空域、不規則な顆粒構造を示しました(Perez&Juliano 1979)。

まとめ〜オゾン処理が白米に及ぼす物理化学的変化

0.1〜0.4ppmのオゾン量は、未調理および炊飯米のセレウス菌数を減らすのに有効であることが証明されています。しかし、オゾン処理は生の白米に物理化学的変化を誘発します。

そこで本研究では、オゾン処理米に対して物理化学的試験を実施し、含水率、pH、色、生米の硬さ、炊飯米の粘着性と硬さ、調理品質および全固形物に対するオゾン処理の効果を確認しました。

その結果は、炊飯米と未調理米の水分含有量、粘着性、硬度が、コントロール米サンプルと比較して有意な変化を受けていないことを示しました。

一方、色(L*およびb*値)、pH、総固形分および調理品質の結果には、大きな違いが確認されました。これらの分析は、イネの物理化学的特性に対する有害な影響を最小限に抑えるために、オゾン濃度と暴露時間に制限を適用する必要があることを証明しています。

オゾンは、より安全な食品を確保するための効果的な用途が非常に優先される食品産業において、貴重な抗菌および燻蒸特性を持っています。
この研究に基づいて、米の害虫駆除処理においても、オゾン処理の安心・安全な利点が浮き彫りになりました。オゾンが残留物を残さないという大きなメリットを持つとは言え、オゾン処理後のイネに対する特定の後遺症が報告されており、オゾン濃度または暴露時間の制限を行って、できる限り副作用を軽減する努力が必要と考えられます。

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