感染を推定するATP検査はオゾン除菌との相性が良い
ATP検査とは、生き物を含む多くの有機物に含まれるATP(アデノシン三リン酸)を汚れの指標とした検査方法です。
ATP検査をすれば、誰でも簡単にその場が汚れているか、洗浄できているかがわかります。
汚れがわかれば、そこにウイルスが存在していることが推測でき、洗浄できていることがわかれば、安全性が高まったと考えることができます。
ATP検査はわずか10秒ほどで結果が出ますので、昨今の感染症対策には有効です。
ただATP検査で汚れを測定するだけで、ウイルスを叩けるわけではありません。
ウイルス除菌ができるオゾンと組み合わせることで、感染症対策がより強固になります。
この記事では、ATP検査の原理を紹介したうえで、感染症対策にどのように寄与するのか解説します。
さらに、オゾン発生器と一緒に使う方法を提案します。
ATP検査でウイルスの検知はできません
ATP検査キット「ルミテスター」を製造・販売しているのは、醤油のキッコーマンのグループ会社のキッコーマンバイオケミファ株式会社(以下、キッコーマン)です。
同社は公式サイトで「新型コロナウイルスの検出はできません」と強調しています。
わざわざこのように断るのは、ATP検査でコロナウイルスを検出できると誤解している人が多いからでしょう。
コロナが存在するかどうかを判定するには、PCR検査が必要です。
PCR検査は、コロナの遺伝物質をみつけることができるので、PCR検査の結果、陽性と出れば「コロナがいる」、陰性と出れば「コロナがいない」ということができます。
ATP検査はコロナの遺伝物質を検出できないので、ATP検査の結果、数値が高くなっても「コロナがいる」とはいえません。
ただ、コロナを検出できなくても、ATP検査はコロナウイルスを含め感染症対策に十分寄与します。
その理由を解説します。
ATPはウイルス感染のサインとみなすことができる
ATP検査で測定するのは、汚れていることのサインとなるアデノシン三リン酸(ATP)です。
さらに、アデノシン二リン酸(ADP)とアデノシン一リン酸(AMP)も検出します。
ATP、ADP、AMPとAがつく物質を3つ測定することから、キッコーマンではこの方法をA3法と呼ぶことがあります。
ADPもAMPも、ATPと似たものなので、この記事ではATPについてだけ言及します。
ある場所にATPが存在していれば、そこは人が触れて汚されたことを意味するので、ウイルスが付着しているかもしれない、といえるわけです。
ATPはすべての生物にとってのエネルギー物質
ATPは、すべての生物にとってエネルギー物質です。
人も細胞内にATPを持っています。
筋肉の細胞がATPを分解するとエネルギーが生まれ、腕や足などを動かすことができます。
そして肉も魚も野菜もフルーツもATPを持っています。
生きることは、ATPを分解すること、ということもできます。
ATPの発見は「ほぼ」汚染の発見といえる
ATP検査は病院や食品加工場やホテルなど、汚れては困る場所で使われています。
ATPはエネルギー物質であり、汚染物質ではないはずなのに、なぜ汚れの証拠とみなされてしまうのでしょうか。
それはATPが、飛沫した唾液や鼻水、手の汚れにも含まれているからです。
ウイルスは飛沫や接触で感染が広がります。
そのため、感染者がいた室内でATPが検出された場所は、「くしゃみによる飛沫が飛んだ場所」や「人の手が触れた場所」と認定することができます。
ATPを発見したからといって、その場所を「100%ウイルスに汚染された場所」とまでは断定できませんが、「ほぼウイルスに汚染されていると考えてよい場所」とはいえるわけです。
ATPの発見は除菌できていない証拠にもなる
ATP検査が優れているのは、除菌できていない場所の推測ができることです。
例えば会社の事務所で感染症が発生したら、事務所内を徹底的に除菌しなければなりません。
しかし、仮に2時間かけて除菌作業をしたとしても、除菌できたことを検証できなければ安全とはいえません。
ATP検査をすれば、ATPが検出された場所は菌がいることを推測できるので、そこをもう一度除菌することができます。
あらためてATP検査をしてATPが検出されなければ、除菌作業は終了です。
ATP検査のやり方「とても簡単」
ATP検査のやり方を解説します。
ここではキッコーマンのATP検査キット「ルミテスター」の方法を紹介します。
ルミテスターは、手の平サイズの端末「ルミテスター・スマート」と、綿棒と試薬の「ルシパックA3」の2つで1セットになります。
検査したい場所を綿棒でぬぐってから、その綿棒を試薬が入った容器に挿入します。
綿棒が入った試薬の容器を端末に挿入すれば、約10秒後に端末の画面に数値が出ます。
数値が大きいほど、多くのATPが存在していることになります。
作業はこれで終わりです。
こちらの動画では、実際にルミテスターを使い、オゾン水とアルコールの減少率を比較していますのでご覧ください。
動画:【オゾンマート】実験 オゾン水の除菌効果
端末のルミテスターは約10万円で、綿棒と試薬は40本セット(40回分)で約1万円です(*1*2)。
*1:モノタロウ【ATP拭き取り検査システム ルミテスター Smart】
*2:モノタロウ【ATPふき取り検査システム(ルミテスター)用 ルシパックA3 Surface 冷蔵】
オゾンとATP検査を組み合わせて使おう
感染症対策において、ATP検査は「目」になります。
人の目では、ウイルスの汚染場所も、ウイルスを除去できたかどうかも見ることができませんが、ATP検査の「目」ならどちらも見ることができます。
しかし、実際に除菌するには「手」が必要です。
ATP検査で汚染が推測できたら、オゾンでウイルスを除菌していきましょう。
人がよく触る場所はオゾン水で除菌が有効
画像左:オゾン水(溶存オゾン)濃度計AOM-05 画像右:オゾン水生成器「オゾンバスター」
部屋のなかでATP検査を実施すると、ATPが多く検出される場所と、そうでない場所がわかります。
ATPが多く検出される場所は、オゾン水を吹きつけて、使い捨てのウエスで拭き取っていきます。
机、椅子、棚、パソコン、ドアの取っ手などの人がよく触る場所はオゾン水での除菌が有効です。
オゾン水はオゾンバスターで手軽に生成が可能です。
気体のオゾンで部屋を丸ごと除菌
ウイルスは空中を浮遊してあらゆる場所に侵入するので、部屋のなかを丸ごと除菌しておきたいものです。
それには、どんな狭い場所にも侵入できる気体のオゾンが有効です。
オゾンは人が吸い込まないほうがよいので、人がいない部屋のなかでオゾン発生器の電源を入れ、オゾンを充満させます。
オゾンは残存しないので、オゾン発生器の電源を止めてしばらく経てば安全に室内を使うことができます。
オゾン水と気体のオゾンで除菌できたら、再びATP検査を行います。
最初の数値より下がっていれば、除菌できたことになります。
ATP検査の結果は数値で表示され、単位は「RLU」を使います。キッコーマンによると、殺菌されていない状態だと、トイレのドアノブは約18,000RLU、エレベーターのボタンは約9,000RLUほどになります。
そして、病院などは500RLU以下が推奨されます。
ATPを40分の1や20分の1にしなければならないので、液体と気体の二刀流が必要です。
まとめ~ATP検査もオゾンも実績があるから安心
ATP検査とオゾンには、実績があるという共通点があります。
ウイルスや細菌による汚染は、病院や食関連施設などで重大な問題です。
それらの施設の管理者はATP検査で汚染を確認し、オゾンやオゾン水で汚染を除去してきました。
感染症対策を一歩前に進めるために、ぜひ試してみてください。