O157と腸管出血性大腸菌感染症〜オゾン除菌の意義を考える

腸管出血性大腸菌感染症を引き起こすO157の除菌はオゾンで可能なのか、ご説明します。

腸管出血性大腸菌感染症を引き起こすO157は大腸菌の一つの株であり、病原性をもっていること以外はヒトの常在菌である大腸菌と構造上はほとんど同じであることが知られています。

そのため、オゾンによって除菌は可能なのですが、そもそもO157はどうやって腸管出血性大腸菌感染症を発症するのか、その毒素であるベロ毒素に着目して解説しながら、オゾンによる除菌の意義を考えていきたいと思います。

抗菌・抗ウイルス効果イメージ画像

オゾン(O₃)とは酸素(O₂)の同位体で、酸素にもう一つOが結合した化学式O₃で表されます。
オゾンは発生器で容易に発生でき、抗菌・抗ウイルス効果を示し、すばやく空気中の酸素に戻ることができるため、除菌と消毒ができる地球にやさしい抗菌物質として注目されています。

オゾン水とはオゾンが溶けこんだ水です。
オゾン水のオゾンは酸化によって除菌した後に水に戻ることができるので、こちらも人体への害を考えずに使うことができる消毒・除菌薬として利用されています。
オゾンはO157と呼ばれる病原性大腸菌の一種においても除菌・殺菌効果を示すことが報告されています。

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o157イメージ画像

O157とは病原性大腸菌の中の株の種類の一つで、食中毒の原因菌として皆さんもご存じかと思います。
国立感染症研究所のホームページでは腸管出血性大腸菌感染症のページの中に病原性大腸菌の一株としてO157が紹介されています。

O157の他にもO26、O111やO128、O145も同様の食中毒を引き起こすことが知られています。
一度食中毒を巻き起こす際は、その規模は尋常ではなく、日本でも年に数千人が腸管出血性大腸菌感染症を引き起こしています。

しかしながら、大腸菌は本来ヒトの腸内に常在する菌であって、毒性がないはずですがなぜ食中毒の原因菌でもあるのでしょうか。

オゾンと細菌イメージ画像

オゾンは細菌に対して消毒・殺菌効果があります。これはこれまでに何度もオゾンコラム内の記事でも説明させていただいてきています。
大腸菌に対しての効果も同様で、酸化作用によって大腸菌の細胞壁を壊し、細胞のホメオスタシスに悪影響を与え、結果として大腸菌の繁殖を抑制することが知られています。

基本的にO157菌自体は熱に弱くしっかりと加熱すれば感染は防げるという考え方が一般的ですが、手洗いの際や調理器具の消毒・殺菌にはオゾン水が貢献できるでしょう。

O157は大腸菌の一株で病原性大腸菌に分類されます。
ただ、ヒトの常在菌である大腸菌と毒素の分泌以外の点は同じであり、それゆえ通常のオゾン水による殺菌消毒で対応可能であるといえます。

また、ベロ毒素の毒性発揮メカニズムから、一度体内に菌・毒素が取り込まれた場合にオゾンになんらかの効果を求めることは難しいため、身体に取り込まれる前の調理器具の除菌や手洗いでの除菌・殺菌にオゾンは貢献します。

ただO157対策のみ考える場合だと、O157は熱に弱い(最低75度1分間以上で死滅と言われている)ことが知られているため、特に夏場は食品をしっかりと加熱することが最大の予防であると言えます。

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