オゾン、オゾン水が抗ウイルス効果、感染予防を示すメカニズム

オゾン、オゾン水はどのように抗ウイルス効果、感染予防を示すのでしょうか。

メカニズムに関しては諸説ありますが、オゾンはウイルスの骨格を破壊し、増殖を防ぐことでウイルスがもつ感染力を失わせると言われています。

オゾンのすごいところは、インフルエンザウイルスからノロウイルスやHIVまで多様なウイルスに対して感染予防を示す点です。

加えて、大腸菌や腸炎ビブリオといった細菌に対しても抗菌効果を示します。
後に1つ先行研究を上げてオゾンによる抗菌メカニズムを示しますが、まだ良く分かっていないことも多いようです。

ただ、基礎科学は近年オゾンが免疫システムを正常に維持し、循環を強め、細菌やウイルスを破壊し、我々の身体の酸素運搬や消費を助けることも少しずつ明らかにしています。

オゾン、オゾン水が抗ウイルス効果、感染予防を示す具体例(研究紹介)

ここからは少し専門的な3つの論文からオゾンの抗ウイルス効果、感染予防がどのように示されているかを紹介していきます。

具体例その① アルコールによる感染予防の代替品としてのオゾン水

Ozonized water as an alternative to alcohol-based hand disinfection.
Breidablik HJ, et al. J Hosp Infect. 2019
アルコールベースの手の消毒の代替としてのオゾン水

ノルウェーの研究グループはオゾン水による菌やウイルスへの感染予防効果が伝統的なエタノール殺菌より高く、オゾン水には手の肌荒れといった副作用も全くないことを報告しています。

彼らはまず30人の看護学生の手に人工的に大腸菌を頒布し、それぞれオゾン水(0.8または4ppm)か擦式アルコール製剤で消毒しました。
その後、指についている大腸菌を培養し、コロニー形成単位を測定しました。(cfu/mL)
コロニー形成単位は数値が大きいほど多くのコロニーを短期間で形成したことを示し、培養前の状態で菌が多かったことを示します。

まず、手を洗う前の状態は全ての被験者でcfu > 30,000/mLという非常に高いコロニー形成率を示しました。
一方オゾン水で洗浄した後だと1017というコロニー形成率を示し、擦式アルコール製剤の2337より低いコロニー形成率を示しました。

加えて、20%の参加者は擦式アルコール製剤によって肌に副作用(焼けた感覚や乾燥)を示したのに対し、オゾン水ではそういった副作用も全く見られませんでした。

本研究結果はオゾン水による大腸菌の除染が伝統的なアルコールによるものの代替品になることを強く示唆しています。

オゾン水は伝統的なアルコール消毒よりも高い効果で大腸菌の増加を抑えることがこのデータから読み取れます。
この図は論文のデータを基に筆者が作成。

具体例その② 一過性のバクテリア感染への一次処理、単一療法としてのオゾン療法

Ozone therapy as a primary and sole treatment for acute bacterial infection: case report
Rowen RJ. Med Gas Res. 2018
急性細菌感染の主要かつ唯一の治療としてのオゾン療法:症例報告

世界的に薬剤耐性菌の問題に直面していて、アメリカでも感染予防の失敗で年に数千人の死者が出ています。

オゾン療法は第一次世界大戦依頼治療として利用されていますが、オゾン療法は特許になりえないものであり、民間の資金源からサポートを受けることが難しいため、これまで感染症予防の主要な治療法としては定着してきませんでした。

アメリカの研究者であるRowen RJ医師はケースレポートとして細菌感染(tick bite cellulitis:マダニによる蜂窩織炎)へのオゾンの有効性を報告しています。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)は、ブドウ球菌やレンサ球菌などにより生じる急性化膿性炎症です。

通常は抗生物質が適用のケースが多いのですが、今回の患者は以前にライム病を抗生物質未使用のオゾン療法のみで治療したことがあったため、蜂窩織炎もオゾン療法の適応を試みたようです。

論文本文中の写真では太ももの赤みがオゾン療法によって3日でほぼ完全に消失したことを示しています。

筆者は本文中でオゾン療法の効果はthe tomato effect(トマト効果)だと主張しています。
トマト効果とは現在使用されている医療の理論に合点が行かないゆえに医療自体が拒否されることを言います。

筆者はオゾン療法を薬剤耐性菌の感染治療に適用するためにも、より形式ばった、しっかりとした研究を行っていくべきだと主張しています。

Rowen RJ医師はオゾン療法による治療3日でほぼ完全に蜂窩織炎による腫れ・赤みが消失したことを報告しています。
図は本文中図を参考に筆者が作成。

具体例その③ オゾン水による腸炎ビブリオの不活性化

Inactivation of Vibrio parahaemolyticus by Aqueous Ozone
Feng L, et al. J Microbiol Biotechnol. 2018.
オゾン水による 腸炎ビブリオの 不活化

腸炎ビブリオの感染は深刻な食中毒を引き起こし、世界的な健康問題となります。

オゾン水は効率よく多くの細菌、ウイルス、寄生虫、そして他の微生物を殺菌、消毒します。
本研究ではオゾン水の中のオゾンの濃度やオゾン水の暴露時間によって腸炎ビブリオの感染力にどのような影響を与えるかを検討しています。

まず低濃度のオゾン水(0.125mg/L)では細菌の細胞膜は無傷のままで細菌の細胞内の抗酸化酵素によってオゾンが無毒化されてしまうことが明らかになりました。

一方高濃度のオゾン水(1mg/L)だと細菌の細胞膜は周辺の電気陰性度によってダメージを受けて、乳酸脱水素酵素が細胞外に放出されました。
乳酸脱水素酵素は一般に細胞がダメージを受けると細胞外に放出されることが知られています。

しかしながら、細菌の状態を電子顕微鏡で観察したところ、細胞の微細構造は壊れていませんでした。

つまり、オゾン水は高濃度であると細胞内に浸透し、細菌活動にとって重要な酵素類を不活性化することでDNAやRNAを分解して細胞死に追い込むことが示唆されました。

オゾン、オゾン水による抗ウイルス効果、抗菌効果、感染予防のまとめ

オゾン、オゾン水は細菌、ウイルスのみならず寄生虫や他の微生物にまで殺菌、消毒効果を効率よく示す、地球にやさしい物質です。実際のオゾンの効果は感染予防のみならず、感染後の治療(オゾン療法)にも用いられています。

特にオゾンの薬剤耐性菌への効果は今後の医学界に大きな激震をもたらす可能性もあるようです。
しかしながら、オゾン療法の有効性が示されている一方でトマト効果のような部分があり、まだオゾンの効果に懐疑的な研究者もいるようです。

今後さらに基礎科学者がオゾンの研究を行っていくことでオゾンの抗ウイルス、抗菌効果はますます注目されていくことでしょう。