オゾンコラム

オゾンは風邪ウイルスに効くのか|研究でわかっていることと判断のポイント

オゾンは風邪ウイルスに効くのか|研究でわかっていることと判断のポイント

オゾンにはウイルスを不活化するはたらきがあると、さまざまな場面で紹介されています。そう聞くと、「風邪のウイルスにも効くのでは」と考える方は多いと思います。

ただ、結論を一言で「効く」「効かない」と言い切るのは難しいテーマです。風邪を起こすウイルスは一種類ではなく、ウイルスごとに研究の状況が異なるためです。

この記事では、オゾンと風邪ウイルスについて報告されている研究を整理しながら、どのウイルスで何がわかっているのか、そしてオゾン自体が身体に与える影響もふまえて、自分なりに判断するための材料をまとめます。

オゾンは風邪ウイルスに効くのか、まず前提を整理する

風邪の診断を受ける様子

オゾンと風邪ウイルスの関係を考えるうえで、最初におさえておきたい前提があります。それは「風邪ウイルス」とひとくくりにされるものが、実際は複数のウイルスの総称だということです。

風邪(風邪症候群)と主な原因ウイルス

風邪は、正式には風邪症候群と呼ばれます。日本呼吸器学会の情報では、風邪の原因のおよそ8〜9割はウイルスとされています。

主な原因ウイルスとしては、ライノウイルスがもっとも多く、次いでコロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが挙げられます。ここで言うコロナウイルスは、ふつうの風邪を起こすタイプを指します。新型コロナウイルス(COVID-19の原因ウイルス)とは別の話として扱います。

「効く/効かない」を一括で語れない理由

ウイルスは種類によって構造や性質が異なります。そのため、あるウイルスでオゾンの不活化が報告されていても、別のウイルスで同じ結果になるとは限りません。

つまり「オゾンは風邪に効く」と一括で語ることはできず、「どのウイルスについての話か」を切り分けて考える必要があります。以降では、研究が報告されているウイルスと、報告が乏しいウイルスに分けて見ていきます。

オゾンの不活化効果が報告されているウイルス

オゾンの抗菌・抗ウイルス作用を示す図

オゾンが特定のウイルスを不活化したという研究は、いくつか報告されています。いずれも試験管内(in vitro)での評価であり、決められた条件のもとでの結果である点をふまえて読む必要があります。

アメリカのブリガム・ヤング大学の研究グループは、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、A型インフルエンザウイルスに対して、オゾンが不活化のはたらきを示すことを実験で報告しています(論文名:オゾンを介した活性酸素種によるビリオン破壊)。

長崎大学の研究グループは、実験動物ウイルスを対象とした研究で、レオウイルスに対するオゾンの不活化効果を報告しています。また、アメリカのネブラスカ大学の研究グループは、腸管アデノウイルスとネコカリシウイルスがオゾンによって不活化されることを示しています。

ここで紹介した研究は、特定のウイルスを決められた条件のもとで試験管内(in vitro)評価した結果です。風邪そのものの予防効果を示したものではない点に注意が必要です。

ライノウイルス・コロナウイルスでは根拠が乏しい

風邪予防のイメージ

一方で、普通感冒の主因であるライノウイルスとコロナウイルスについては、オゾンとの関係を示す研究が見つけにくいのが現状です。

主因のウイルスなのに先行研究が見当たらない

ライノウイルスとコロナウイルスは、風邪の主な原因ウイルスです。それにもかかわらず、これらをオゾンで不活化できるかを試験管内で評価した先行研究は、調べた限りでは見当たりませんでした。

まったく検討されていないとは言い切れませんが、現時点では科学的な根拠が出そろっていない可能性があると考えられます。

ヒトを対象とした試験でも影響は確認されなかった

ライノウイルスについては、ヒトを対象にオゾンの影響を調べた研究があります。1988年にアメリカ・ノースカロライナ州立大学の研究グループが報告したもので、オゾンに暴露された人のライノウイルス感染に、オゾンが影響を及ぼさなかったことを示しています。

具体的には、鼻の分泌物中のウイルス量や免疫に関わるいくつかの指標に、オゾン暴露による変化が見られなかったと報告されています。専門的な内容ですが、ライノウイルスによる感染に対して、オゾンがはっきりした影響を与えなかったという結果です。

ライノウイルスは予防そのものが難しい

そもそもライノウイルスは、予防が難しいウイルスとして知られています。アメリカのワイル・コーネル・メディカル・カレッジの研究グループが2013年にまとめたレビュー論文(ヒトライノウイルス)では、ライノウイルスに100種類以上の亜型があり、ワクチンの作成が難しいことが整理されています。

亜型が非常に多いため、手洗いやビタミンC摂取などを含めても、確実な予防法の確立は難しいとされています。オゾンに限らず、ライノウイルスへの対策はもともと一筋縄ではいかないテーマだといえます。

オゾン自体が身体に与える影響も合わせて考える

オゾンの研究イメージ

オゾンを考えるときは、ウイルスへのはたらきだけでなく、オゾン自体が身体に与える影響も合わせて見ておく必要があります。

アメリカのナショナル・ジューイッシュ・ヘルスの研究グループは、オゾンがマウスに与える影響を分子レベルで検討した研究を報告しています。この研究では、発育期のオゾン暴露が肺の発育に影響を及ぼすことや、その作用が免疫に関わる受容体(TLR4)を部分的に介していることが示されています。

マウスを使った実験であり、ヒトにそのまま当てはまるわけではありません。ただ、肺は風邪とも関わりの深い臓器です。とくに高濃度のオゾンにさらされる状況については、注意して考えたい結果だといえます。

ここで押さえておきたいのが、オゾン機器は一括りにできないという点です。高濃度での使用を想定した機器は、人がいない無人環境での使用が前提になっています。一方で、低濃度で有人環境での使用を想定して設計された機器もあります。どの濃度を、どの環境で使うかは機器によって前提が異なるため、製品の仕様や取扱説明書で確認することが欠かせません。「オゾン=身体に悪い」「オゾン=安全」と一括りにするのではなく、濃度と環境と機器の組み合わせで考えることが大切です。

どんな条件ならオゾンが選択肢になり得るか

ウイルスから守る盾のイメージ

ここまでの内容をふまえると、普通感冒の予防にオゾンを積極的に使うべきと言い切れる根拠は、現時点では強くありません。一方で、状況によっては選択肢に入る場面も考えられます。

感染の影響が特に大きい場面

たとえばアスリートにとって、風邪はパフォーマンスを大きく左右します。2018年の平昌オリンピックを報じた海外メディアの記事では、冬季大会の大きな敵として風邪が挙げられていました。

同大会では、フィンランドチームがチーム内の風邪を予防するために行った取り組みを報告した論文も発表されています。乾燥や低温が重なる環境で、選手の体調管理が重要な課題になっていたことがうかがえます。

すべての風邪ウイルスに同じように効くわけではありませんが、感染が成績や活動を大きく左右するような場面では、従来の予防法に加えた選択肢のひとつとして検討される余地はあると考えられます。

流行性感冒と普通感冒では状況が異なる

同じ「かぜ」でも、インフルエンザやノロウイルスなどの流行性感冒は重症化しやすく、研究も進んでいます。これに対し、ふつうの風邪(普通感冒)は重症化しにくいぶん、オゾンに関する研究が少ないのが現状です。

そのため、「インフルエンザでの報告があるから普通感冒にも同じように効く」とは考えにくく、状況を分けて見ることが必要です。

オゾンと風邪ウイルスを判断するときの確認ポイント

最後に、オゾンと風邪ウイルスについて自分なりに判断するための確認ポイントを整理します。

  • どのウイルスの話か:オゾンの不活化が報告されているウイルスと、根拠が乏しいウイルスは異なります。「風邪に効く」と一括で考えないことが出発点です。
  • 試験管内か実環境か:不活化の報告の多くは試験管内での結果です。実際の生活空間での予防効果とは分けて考えます。
  • 濃度・環境・機器の前提:高濃度は無人環境前提、低濃度は有人環境を想定した機器など、前提は機器ごとに異なります。製品仕様や取扱説明書で確認します。
  • 身体への影響とのバランス:とくに高濃度のオゾンは身体への影響も報告されています。軽症の風邪に対して使う場合は、このバランスを意識します。
  • 流行性か普通感冒か:研究の進み方や状況が異なるため、同じかぜでも分けて考えます。

オゾンと風邪ウイルスは、過度に期待するのも、頭から否定するのも実態に合いません。報告されている研究には偏りがあり、わかっていないことも多いのが現状です。現時点でわかっていることと、自分の使う環境や目的を照らし合わせて判断していくことが、いちばん確実な向き合い方だといえます。

よくある質問

オゾンは風邪ウイルスに効きますか?

効く・効かないはウイルスの種類によって異なり、一括では判断できません。風邪を起こすウイルスは複数あり、オゾンによる不活化が試験管内で報告されているものもあれば、根拠が乏しいものもあります。「どのウイルスの話か」を分けて考えることが出発点です。

風邪の主因であるライノウイルスやコロナウイルスにも効きますか?

これらは普通感冒の主因ですが、オゾンの効果に関する根拠は乏しいのが現状です。試験管内での不活化を評価した先行研究は見つけにくく、ヒトを対象にした過去の研究でも、ライノウイルス感染への明確な影響は確認されませんでした。過度な期待は避け、状況を分けて考えることがすすめられます。

オゾンは身体に影響しますか?

高濃度のオゾンでは身体への影響が報告されており、濃度と環境に注意が必要です。マウスを使った研究では、発育期の高濃度暴露が肺の発育に影響する可能性が示されています。ヒトにそのまま当てはまるわけではありませんが、とくに高濃度で使う場面では、機器の使用条件を確認することが大切です。

風邪対策でオゾンを使うなら家庭用と業務用のどちらがよいですか?

使う環境と濃度の前提が異なるため、機器のタイプと仕様で選ぶことが基本です。オゾン機器には、低濃度で有人環境を想定したものと、高濃度で無人環境を前提にしたものがあります。使う場所や使い方を整理し、製品仕様や取扱説明書で使用条件を確認したうえで選ぶと安心です。オゾン発生器の一覧

人がいる部屋でもオゾンは使えますか?

有人環境を想定して設計された機器かどうかで、使える場面が変わります。高濃度での使用を前提とした機器は、人がいない空間での使用が基本です。一方で、低濃度で有人環境を想定して設計された機器もあります。導入前に試したい場合は、レンタルで使用感を確かめる方法もあります。オゾン発生器のレンタル