知っておきたいオゾンの知識〜赤ちゃんのいる部屋でオゾンは大丈夫？

オゾンとは何か？安全か危険か？

オゾン（O₃）は、酸素（O₂）がさらにもう1つの酸素原子と結合した不安定な気体です。自然界では雷の後や高地で感じる“すっきりしたにおい”として知られ、オゾン層としては紫外線から私たちを守ってくれています。

人工的に発生させたオゾンは、除菌や脱臭に活用できますが、濃度によっては健康に害を及ぼす可能性があります。特に赤ちゃんや高齢者など、呼吸器が敏感な人は影響を受けやすいため注意が必要です。しかし、濃度が基準値以下であれば人体への影響は極めて少なく、安全に使用できます。つまり、オゾンは「危険な気体」ではなく、「使い方によっては安全な道具」なのです。過度に怖がる必要はなく、正しい知識を持つことで、安全にその恩恵を受けることができます。

オゾンが除菌や消臭に使われる理由

オゾンの最大の特徴は、その「酸化力」です。この性質により、細菌やウイルス、におい成分の原因物質を分解し、無害な酸素に戻すことができます。薬品を使わず、残留物も残さないため、病院や食品工場でも利用されています。

家庭でもオゾン発生器を使うことで、生ゴミのにおいやペット臭、カビ臭などを効率的に除去できます。ただし、その効果が強力である分、濃度管理や使用時間を誤ると、空気中に刺激成分が残ってしまうこともあります。

大切なのは、「効果を引き出すために使う」のではなく、「安全を前提に使う」という姿勢です。正しい濃度と換気のルールを守れば、オゾンは安全で頼れる空気対策の一つとなります。

オゾンによる呼吸器へのリスク

高濃度のオゾンは、呼吸器に刺激を与えることがあります。赤ちゃんは肺や気管が未発達なため、濃度の高いオゾンを吸い込むと、せきやくしゃみなどの症状が出ることがあります。

ただし、これは主に0.1ppmを超える濃度で長時間吸入した場合に起こるものであり、一般的な家庭用の低濃度オゾン発生器を適切に使用すれば、こうしたリスクはほとんど心配ありません。ポイントは、「使用中に赤ちゃんを近づけない」「使用後にしっかり換気する」など、正しい使い方をすることです。

安全と効果を両立するために、使用環境の整備が欠かせません。

高濃度オゾンと死亡事故

これまで日本国内で家庭用オゾン発生器による死亡事故が起きたという報告はありません。しかし、高濃度のオゾン発生器を密閉空間で使用し、健康被害が出た事例は報告されています。たとえば、除菌目的で業務用のオゾン発生器を長時間使用し、その空間にとどまっていた作業員が体調不良を訴えたケースがあります。これは成人の事例ですが、同じ条件が赤ちゃんに及べば、より深刻な影響を及ぼす可能性があります。

愛知県岩倉市消防本部で3年前のコロナ禍の夏、複数の隊員が救急車のドアを閉めたままオゾン発生器で車内を消毒し、体調不良を訴えるトラブルが相次いでいたことがわかった。

朝日新聞｜救急車内で隊員をオゾン消毒、一時体調不良に

オゾン濃度が0.1ppmを超えると、においを感じたり、のどに違和感を覚える人が増え、0.3ppmを超えると明らかな健康被害が起きるリスクがあるとWHOも警告しています。赤ちゃんは体が小さく、呼吸回数が多いため、影響を受けやすい傾向があります。そのため、家庭でのオゾン使用では濃度管理と換気が非常に重要です。機器の選定や使用方法の確認を怠らず、安全を最優先に考えることが求められます。

参照：特定非営利活動法人 日本オゾン協会｜オゾンハンドブック

オゾンが赤ちゃんの成長に与えるかもしれない影響

オゾンの影響は即時的なものだけでなく、成長期の子どもに対する長期的な影響も気になるところです。たとえば、高濃度のオゾンを日常的に吸い続けた場合、呼吸器への負担やアレルギー症状の悪化につながる可能性があります。

しかし、家庭用として販売されている機器の多くは、設定された安全濃度を守ることを前提に設計されており、正しく使用していれば赤ちゃんの成長に悪影響を及ぼす心配はほとんどありません。

また、赤ちゃんの情緒や睡眠の質に影響を与える「におい」の管理にはオゾンの力が役立つこともあります。においの強い空間は、赤ちゃんの不安感につながることがあるため、においをやさしく抑える目的で使うことで、より快適な育児環境をつくることができます。