オゾン層って何???
オゾン層がどのようにしてできたか、オゾン層のメカニズム、オゾンホールが出来る仕組みと環境被害についてまとめています。
1.オゾン層ができるまで
オゾン層は地球が誕生した当時から存在したわけではなく、地球の環境変化とともに作られました。
オゾン層は強い紫外線を吸収する機能がありますが、地球誕生当初はオゾン層がなかったため、強い紫外線が地表に直接届いていました。
そのため地表で生物は生きられず、生物は海の中で生まれました。
時間の経過とともに、大気中に酸素が増えていき、酸素が紫外線と反応して、徐々にオゾンの層ができていきました。
酸素の濃度が増えるに従ってオゾンの量も増え、オゾン層は地表から上空へと上昇していきました。
地表から11km上空までが対流圏、対流圏の界面から50kmまでが成層圏と呼ばれてますが、現在オゾン層はこの成層圏にあります。
ちなみに、地表から11kmまでは地面からの輻射熱で空気が暖められ、暖められた空気が上昇して対流が起こるので、対流圏と呼ばれています。
対流圏に地球を取り巻く空気の75%が存在し、成層圏に残りの25%があります。
2.オゾン層のメカニズム
オゾン層のメカニズムを知るには、酸素とオゾンと紫外線、この3つを理解する必要があります。
酸素とオゾンはどちらも酸素原子でできています。
酸素に太陽光からの紫外線が当たると分解され、酸素原子2つに別れます。
O₂が、O+Oひとつずつに分離。
分解された酸素原子Oは、放っておくと酸素分子O₂に結びつきます。
Oが、O₂と結びつき、O+O₂=O₃、オゾンになります。
成層圏の上層部で、酸素分子(O₂)が光を吸収して、酸素原子(O)に分かれて下層に落ちて行き、下層部にある酸素分子(O₂)と反応し、中間領域でオゾン(O₃)が生成され、オゾン層となります。
オゾン(O₃)に紫外線が当たれば、オゾンも分解され、酸素分子(O₂)+酸素原子(O)に別れます。
オゾンが分解された後に出来た酸素分子(O₂)はまた上層に戻り、酸素原子2つ、O+Oにわかれ、また同じように下層にある酸素分子(O₂)と結びつき、O₂+O=O₃、オゾンになる、というサイクルです。
オゾン層は、太陽からの強い紫外線を受けて分解され、酸素分子と酸素原子になり、またオゾンに戻るというサイクルで、地表に強い紫外線が届かないようにしてくれているのです。
成層圏は高度が上昇するにつれて温度が上がっています。
オゾンが紫外線で酸素原子と酸素分子に分解される際に熱が出るからです。
オゾンは酸素よりも比重が重いので下に向かいますが、途中で紫外線が分解し、酸素原子と酸素分子になって上昇します。
3.オゾン層の破壊と環境問題
若い人は知らないかもしれませんが、フッ素と塩素からつくる化合物「フロンガス」というものが、ずいぶん昔に使われていました。
色も匂いもなく燃えることもないので、化学的に安定したガスとして、エアコンや冷蔵庫の冷媒やスプレーなどに使われていました。
ところが、フッ素と塩素から構成されるこのフロンガス、成層圏まで上昇すると、オゾンガスを破壊する事がわかりました。
それが1970年台のことで、オゾンが有名になり始めたのもこの頃です。
1992年にモントリオール議定書締約国会議で、フロンガスの使用を全廃することになりました。
この辺りは有名な話でご存じの方も多いでしょう。
ただ、なぜフロンガスがオゾン層を破壊するのか、化学的に見ていきましょう。
フロンは前述したとおり、フッ素と塩素からなる化合物です。
この、塩素が問題で、オゾンは塩素と非常に反応しやすいのです。
上の化学式の通り、オゾンと塩素が反応することで、一酸化塩素と酸素分子になります。
酸素分子は紫外線によって切り離され、酸素原子2つ、O+Oに分離します。
分離した酸素原子は酸素分子と結びついてオゾンになる前に、前式で出来た一酸化塩素と反応し、ふたたび塩素に戻るのです。