材料および方法

サンプル洗浄

実験1
市販のキュウリ10個を各試験に用いました。

サンプルの洗浄は、大量調理施設衛生管理マニュアル5)に従い、衛生害虫、異物混入、 腐敗・異臭等とチェック後に水洗しました。洗浄は水道水またはオゾン水で行い、オゾン水濃度は、0.5,1,2,4mg/Lとし、タッパー内で3回繰り返しています。

オゾン水はOPENICS-220(Nikka Micron)を使って4mg/Lの濃度になるようにして作成し、作成後ただちに超純水にて所定の濃度まで希釈しました。

オゾン水中のオゾン濃度はPack Test(共立化学―チェックLab)でキュウリの処理直前に確認しました。

細菌の分離と同定(実験1、2共通)

市販のキュウリに関するオゾン水洗浄効果の検証(実験1)

水分含有量、ポリフェノール濃度測定法(実験2)

オゾン水洗浄およびオゾンガス曝露による保存試験(実験2)

結果と討論

大腸菌の塩耐性テスト(実験1)

野菜から分離・同定された細菌の遺伝子同定(1)キュウリから分離・同定された細菌(実験1)

キュウリから8種類の細菌が同定されました。
それらは、Enterobacter cloacae(水や土壌中に多い感染症の原因菌), Escherichia hermannii(大腸菌の仲間)、Kosaconia cowanii、Staphylococcus aureus(ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌のような病原性を持つ種類もある))、Salmonella bongori、S. sciuri(これら2種はサルモネラ菌の一種)、Acinetobacter calcoaceticus、A.oleivorans(院内肺炎原因菌)です。

これらのうち、最初の4種は人由来の細菌と思われ、また、最初の3種は、受精か栽培過程でキュウリに感染したものと推定されました。

 残りの4種は人から分離されたことが無く、環境由来のものと考えらます。特に多くの食品汚染源になるケースが多いSalmonera bongoriは、爬虫類の定住菌です。

環境由来細菌の汚染源は不明ですが、販売陳列中、高温での貯蔵中、浅漬のような高栄養状態下での汚染が考えられます。

野菜から分離・同定された細菌の遺伝子同定(2)ゴーヤ、ニンジン、ミニトマト、ナスから分離・同定された細菌(実験2)

オゾン水での洗浄効果(実験1)

オゾン水での洗浄効果(実験2)

ゴーヤ、ミニトマト、ニンジン、ピーマン、ナスに付着していた細菌に対しては、洗浄による除去効果が認められました。

 生ゴーヤで10^4オーダーあった細菌数が、水道水やオゾン水洗浄後には10^3オーダーに減少。

生ミニトマトの生菌数は10^3オーダーで、洗浄後も若干減少した程度でした。

生ニンジンの生菌数は10^3オーダーと大きかったものの、水道水洗浄で10^3弱に、オゾン洗浄で10^3オーダーにまで減少。

ピーマンの生菌数は10^2オーダーで、洗浄後も目立った減少は認められませんでした。同様に、10^6近くあったナスの生菌数も、洗浄後も余り大きくは減少しませんでした。

このように、洗浄効果は野菜の種類によって異なり、ゴーヤとニンジンでの効果が大きく、反対にミニトマト、ピーマン、ナスでは除去度合いは少ないものでした。

細菌の除去率はオゾン水洗浄の方が大きく、ゴーヤでは洗浄前と比べて10倍以上、ニンジンでは100倍以上にもなり、とくにニンジンでは水道水洗浄と比べても50倍で除去率が向上していました。

水道水またはオゾン水で洗浄後のオゾンガス暴露の有無という4通りの異なる実験条件ごとの殺菌作用(実験2)

サンプル中の水分含有量と洗浄方法(実験2)

サンプル中のポリフェノール含有量と洗浄方法(実験2)

サンプル中のポリフェノール含有量およびビタミンC含有量の分析では、保存前と後とで含有量に違いは認められませんでした。 

サンプル中のエチレン含有量と洗浄方法(実験3)

サンプルの視覚的変化と洗浄・保存方法(実験2)

ミニトマトとナスのサンプルでは、オゾン水洗浄―オゾン非暴露あるいはオゾン水洗浄―オゾン暴露サンプルで、水道水洗浄―オゾン暴露や水道水洗浄―オゾン非暴露サンプルよりも光沢が強いことが判明しました。

このことは、オゾン水処理が効果的であることを示します。これは、野菜表面に付着する有機物(微生物を含む)がオゾン水処理で除去されたためと推察されます。

 ニンジンでは、水道水洗浄後にオゾン非暴露状態で保存したサンプルの一部分が黒変して腐敗が生じていました。

事実、このサンプルでは、細菌数が107個/gオーダーに増加。一方、オゾン処理(オゾン水処理かオゾン暴露、あるいは両方の処理)を加えたサンプルでは腐敗現象は認められていません。

この結果は、オゾン処理が細菌増殖抑制に効果的であったことを示すものです。

 密閉保存条件下で行った本実験系では、オゾン処理で野菜の腐敗を進める細菌の増殖を止められることを明らかにできましたが、野菜のエチレン放出量については、オゾンによるエチレンガス酸化のせいで計測できなかった可能性が指摘されています。

このため、今後は、開放系の容器を用いた試験を行う必要があります。

その場合には、実際の販売空間あるいは冷蔵ショーケースなどの中でオゾンガス曝露する方法が試みられるべきです。

 一方、密閉容器内でのオゾン処理に関して、オゾン水の噴霧や、オゾン水循環槽の中での保存についても、今後検討していきたいとしています。

まとめ〜オゾンの優位性