1.陸上養殖における魚介類の感染症対策

出典:一般社団法人マリノフォーラム21次世代型陸上養殖の技術開発事業

2.魚介類の感染症原因菌のオゾンによる殺菌

2.1. 魚介類の感染症とその原因菌

では、まず、代表的な魚病とその原因菌を紹介します。

パスチュレラ菌感染症

パスチュレラ菌による海産養殖魚に発生する感染症で、ブリ、タイ、ハタ、アジ類など多くの魚種で発生しています。
1990年代に大分県や愛媛県で発生した養殖ヒラメのパスチュレラ菌感染症では、死亡率が0.6~4.8%に達しました。
抗生物質が効く病気です。
養殖ヒラメ稚魚に発生したPasteurella piscicida感染症

ビブリオ病

魚類の感染症として古くから知られたビブリオ病菌を原因菌とする、サケ・マス・鮎に特有の死亡率の高い病気です。
飼育環境の悪化に伴って発生するとされています。
人にも感染する食中毒菌で、死者まで出ることがあります。
除菌には、抗生物質が使われます。

エンテロコッカス菌(連鎖球菌)感染症

魚の連鎖球菌症は、養殖ブリの最も重要な細菌性魚病です。
ブリ以外にも、カンパチ、タイ、アジ、ウナギ、ニジマス、鮎など海生・淡水生を問わず、多くの魚種が感染します。
抗生物質による治療が行われます。このほか。
淡水魚に特有の感染症として、せっそう病、口赤病、冷水病、伝染性の膵臓や造血器の壊死性ウイルスなどがあります。

マイクロバブルの利用

次に、マイクロバブルを利用した装置を紹介します。「カキにあたって大変な思いをした」という人は少なくないと思います。カキによる中毒の代表的なものはノロウイルスで、生ガキを食べた人に急性の胃腸炎症状を現します。ノロウイルスは熱や乾燥に強く、感染力の強い、たちの悪いものです。このノロウイルスに感染したカキの殺菌にオゾン水を用いる試みが行われています。オゾンを水に溶かしただけのオゾン水は、オゾンが抜けやすく、オゾン濃度を長時間高濃度に保つことが難しい難点があります。そこで、オゾン発生装置とナノ・マイクロバブル発生装置を合体させて作るマイクロバブルオゾン水が使われます。この水を使った場合、細かいオゾンの泡が長時間水中に留まり、オゾンがカキの鰓から下記の体内にまで浸透してウイルスや雑菌を完全に制圧できます。また、このシステムでは、従来から使われている、塩素や紫外線殺菌よりも短時間に強力に殺菌できるため、カキへのダメージも軽減されるため、消費者に安心・安全な商品を提供できます。マイクロバブルオゾンの感染症に対する効果を、養殖ヒラメで実験した報告もあります。ウナギの鮨赤病として知られているエドワジエラ症は、エドワジエラ菌が原因菌で、養殖ウナギ、マダイ、ヒラメで大きな問題となっています。このエドワジエラ菌に対して、オゾンマイクロバブルを使った試験が行われました。感染ヒラメ個体を、オゾン濃度が0.15mg/ℓで60分間暴露した結果、オゾン濃度が0.15mg/ℓで菌は消滅し、0.11mg/ℓでも菌数が1/10程度まで減少することが分かりました。
宮崎県水産試験場研究報告:オゾン微細気泡を用いた防疫対策技術の開発

魚の病気としては、感染症のほかにも寄生虫病があります。
サケやサバの寄生虫アニサキス、サケ・マスや海産魚に寄生する条虫、ホタルイカの線虫などが良く知られています。これら寄生虫の感染予防法としては、加熱調理で死滅するものが多く、冷凍処理も条虫に対して効果的です。
大阪市立大学大学院医学研究科・医学部医学科 医動物学入門

殺虫剤はアニサキスにはほとんど効きません。
また、オゾン処理が寄生虫の殺虫に有効とのデータも公表されていません。
一方、ギロダクチルスという小さな寄生虫は、鯉や金魚に好んで寄生し、吸虫病を引き起こして爆発的な感染につながることもあります。このギロダクチルス感染アユ(吸虫病アユ)を、1時間当たり180mgの濃度のマイクロバブルオゾンを導入した池で6時間飼育したところ、アユを弱らせずにギロダクチルス駆除に成功したという報告があります。
これは、内部寄生虫と違って、鰓や体表に寄生する外部寄生虫であるため、オゾンのパワーがもろに寄生虫に届いたためであると思われます。
オゾンマイクロバブルを用いた寄生虫症等治療技術の開発研究
オゾンマイクロバブルシステムではないものの、似たような仕組みの装置を利用した事例として、熊本県のフグ養殖場でのオゾン発生装置導入例があります。10m四方、水深7mのフグ養殖用海洋生け簀の底部に細かい穴の開いたパイプを設置して、このパイプに圧縮空気と混合したオゾンを導入し、養殖用水を循環させています。この仕組みがマイクロバブルと同じような働きをして、赤潮発生時にも斃死は起きず、夏場の高水温でも病原菌の繁殖が起きず、フグの生存率向上・生産性の向上に寄与していると言います。

3.真珠養殖でのオゾンの利用

4.水産養殖関連施設でのオゾンの利用

(1) メリット

・一度、オゾン発生器を購入すれば、ランニングコストがかからない
・養殖に際して、殺菌効果が見込める上に、脱臭効果も期待できる
・殺菌効果が非常に強い
・殺菌可能範囲が、生体、飼育器具、水槽、排水管など広い範囲に及ぶ
・毒性が残存しない

(2) デメリット

・生け簀を浄化するのに十分量のオゾンを発生させるためのオゾン発生器は、大型でハイパワーになり、購入コストがかさむ
・魚種、菌の種類、水槽のサイズ、養殖用水の種類などでオゾン効果が大きく違うため、細かい条件設定を行ってから、最適なオゾン使用条件を決める必要がある
・水族館やなどの室内飼育施設でオゾンを用いる際には、人体への毒性に十分に注意を払う必要がある
・オゾン水ではオゾンが抜けやすい

6.まとめ