オゾンコラム

オゾン層とは?できた仕組みから破壊の原因、現在の回復状況を解説

オゾン層とは?できた仕組みから破壊の原因、現在の回復状況を解説

オゾン層は、太陽からの強い紫外線を吸収して、地上の生き物を守ってくれている層です。ただ、地球が生まれたときから存在していたわけではありません。この記事では、オゾン層がどのようにしてできたのか、なぜ紫外線を防げるのか、フロンガスによって破壊された仕組みとオゾンホール、そして現在の回復状況までを、順を追ってやさしく解説します。

オゾン層ができるまで

オゾン層の成り立ちを解説する漫画

オゾン層は、地球の誕生当時から存在したわけではなく、地球の環境変化とともに少しずつ作られてきました。

オゾン層には、太陽からの強い紫外線を吸収する働きがあります。しかし、地球が誕生したばかりの頃にはオゾン層がなかったため、強い紫外線が地表まで直接届いていました。そのため、生物は地表では生きられず、紫外線が届きにくい海の中で生まれたと考えられています。

やがて、海の中の生物が光合成を行うようになると、大気中の酸素が少しずつ増えていきました。この酸素が紫外線と反応することで、徐々にオゾンの層ができていったのです。酸素の濃度が増えるにつれてオゾンの量も増え、オゾン層は地表付近から上空へと押し上げられていきました。

現在、オゾン層があるのは「成層圏」と呼ばれる場所です。地表から約11km上空までは対流圏、そこから約50kmまでが成層圏と呼ばれています。対流圏は、地面からの熱で空気が暖められ、上昇気流による対流が起こることからその名が付いています。地球を取り巻く空気の約75%は対流圏にあり、残りの約25%が成層圏にあります。

対流圏と成層圏とオゾン層の位置関係を示す図

オゾン層が紫外線を防ぐメカニズム

オゾン層の仕組みを理解するには、「酸素」「オゾン」「紫外線」の3つの関係を知る必要があります。

酸素原子と酸素分子とオゾンの関係を示す図

酸素(O₂)とオゾン(O₃)は、どちらも同じ酸素原子(O)からできています。酸素分子に太陽からの強い紫外線が当たると、分子が分解されて、2つの酸素原子に分かれます。分かれた酸素原子は、そのままでは不安定なため、近くにある酸素分子と結びつきます。こうして「O₂+O=O₃」、つまりオゾンが生まれます。

できたオゾンに再び紫外線が当たると、今度はオゾンが分解されて、酸素分子と酸素原子に戻ります。そして、その酸素分子がまた紫外線で分解され、酸素原子が酸素分子と結びついてオゾンになる、というサイクルが繰り返されます。

オゾン層は、この「分解と生成のサイクル」の中で紫外線のエネルギーを吸収し続けることで、地表に強い紫外線が届かないようにしてくれているのです。

ちなみに、成層圏では高度が上がるほど気温が高くなります。これは、オゾンが紫外線で分解される際に熱が発生するためです。オゾンは酸素より重いため下に向かいますが、途中で紫外線によって分解され、酸素分子と酸素原子になって再び上昇します。この循環も、オゾン層が成層圏にとどまり続ける理由のひとつです。

オゾン層が紫外線を防ぐ仕組みを解説する漫画

フロンガスによるオゾン層の破壊

フロンガスとオゾン層のイメージ

このオゾン層を破壊する原因として知られているのが「フロンガス」です。

フロンガスは、炭素・フッ素・塩素などからつくられる化合物で、色も匂いもなく、燃えることもありません。化学的にとても安定したガスだったため、かつてはエアコンや冷蔵庫の冷媒、スプレーの噴射剤などに広く使われていました。

ところが1970年代に、このフロンガスが成層圏まで上昇すると、オゾン層を破壊することが指摘されました。オゾンという言葉が広く知られるようになったのも、この頃からです。

問題になるのは、フロンに含まれる「塩素」です。オゾンは塩素と非常に反応しやすい性質を持っています。成層圏で紫外線によりフロンから切り離された塩素(Cl)は、オゾン(O₃)と反応して、一酸化塩素(ClO)と酸素分子(O₂)に変わります。

塩素とオゾンが反応して一酸化塩素と酸素分子になる化学式

さらに、この一酸化塩素は、紫外線で生まれた酸素原子(O)と反応して、ふたたび塩素に戻ります。つまり、塩素は消えることなく、何度もオゾンを壊し続けるのです。

一酸化塩素と酸素原子が反応して塩素に戻る化学式

1つの塩素原子が、連鎖的に多くのオゾンを破壊してしまうことが、フロンガスの大きな問題でした。

この問題を受けて、1987年に「モントリオール議定書」が採択され、フロンなどのオゾン層破壊物質を国際的に規制する枠組みが定められました。その後の締約国会議で規制は段階的に強化され、1992年のコペンハーゲン改正によって全廃スケジュールが前倒しされ、特定フロン(CFC)は先進国では1995年末までに生産が全廃されています。

フロンガスによるオゾン層破壊を解説する漫画

オゾンホールと環境への影響

オゾン層の破壊を象徴する現象が「オゾンホール」です。

オゾンホールとは、オゾン層のオゾンが極端に少なくなり、まるで穴が空いたような状態になる現象のことです。オゾン層の破壊は、特に南極域の春(8月〜12月頃)に発生するオゾンホールに顕著に現れます。

南極の上空でオゾンホールができやすいのは、冬の間に気温が極端に下がり、オゾンの破壊反応を促進する特殊な雲(極成層圏雲)ができやすいためです。冬の間にこの雲の上で塩素が活性化され、春になって太陽の光が当たり始めると、オゾンの破壊が一気に進みます。

オゾン層が薄くなると、地表に届く有害な紫外線(UV-B)が増えます。気象庁によると、紫外線の増加による皮膚がんや白内障など、人の健康への影響が懸念されているほか、大気の循環が変化し、気候にも影響を及ぼすことが報告されています。オゾン層の破壊は、遠い空の話ではなく、私たちの生活にもつながる環境問題なのです。

オゾン層は今、回復に向かっている

少し安心できる話もあります。モントリオール議定書による規制の効果で、大気中のフロン類の濃度は1990年代以降、減少傾向に転じています。

南極のオゾンホールも、1980年代から1990年代半ばにかけて急激に拡大しましたが、2000年以降は縮小傾向にあります。環境省の年次報告書によると、オゾン層が1980年のレベルまで回復する時期は、南極では2066年頃、北極では2045年頃、高緯度を除く全球の平均では2040年頃と予想されています。

回復にはまだ長い時間がかかりますが、オゾン層の問題は、世界中の国々が協力して改善に向かわせることができた、数少ない環境問題の成功例といわれています。フロンの規制から数十年かけて、オゾン層は今、少しずつ元の姿に戻ろうとしています。

よくある質問

オゾン層とは何ですか?

オゾン層とは、地上約10〜50kmの成層圏にある、オゾンが多く集まった層のことです。太陽からの有害な紫外線(UV-B)を吸収し、地上の生き物を守る役割を担っています。地球誕生時には存在せず、大気中の酸素が増えるとともに、酸素と紫外線の反応によって少しずつ形成されました。

オゾン層はなぜ破壊されたのですか?

主な原因は、かつて冷媒などに使われていたフロンガスに含まれる塩素です。フロンが成層圏に達すると、紫外線で塩素が切り離され、オゾンと連鎖的に反応して壊し続けます。1つの塩素原子が多くのオゾンを破壊するため、国際的な規制によってフロンの生産は段階的に全廃されました。オゾンの性質と仕組みを詳しく読む

オゾン層は今も破壊され続けていますか?

現在は規制の効果により、オゾン層は長期的な回復傾向にあるとされています。大気中のフロン類の濃度は1990年代以降減少しており、環境省の報告では、1980年のレベルまで回復する時期は全球平均で2040年頃、南極では2066年頃と予想されています。オゾン層の回復状況を詳しく見る

オゾン層のオゾンと、オゾン発生器のオゾンは同じものですか?

オゾン層のオゾンも、オゾン発生器が作るオゾンも、同じ物質(O₃)です。成層圏では酸素と紫外線の反応で自然に生まれ、オゾン発生器は同じオゾンを人工的に生成して、除菌や脱臭の用途に活用しています。物質としての基本を知りたい方は、基礎解説の記事も参考になります。オゾンの基礎をやさしく解説した記事を読む

オゾン発生器を使うと、オゾン層の破壊につながりますか?

オゾン発生器の使用が、オゾン層の破壊につながる心配は基本的にありません。地上で発生したオゾンは反応性が高く、比較的短い時間で酸素に戻るため、成層圏まで到達しません。オゾン層破壊の原因は、フロンのように分解されにくい塩素化合物が成層圏まで運ばれることにあります。オゾン発生器の製品一覧を見る